大阪高等裁判所 平成11年(行コ)62号 判決 2000年7月21日
控訴人
甲
右訴訟代理人弁護士
村松昭夫
同
杉本吉史
同
河野豊
被控訴人
東大阪税務署長 中川靖雄
右指定代理人
石垣光雄
同
木村訓受
同
原田一信
同
新名徹
同
宮田恭裕
主文
一 本件控訴を棄却する。
二 控訴費用は控訴人の負担とする。
事実
第一当事者の求める裁判
一 控訴人
1 原判決を取り消す。
2 被控訴人が平成七年三月二日付けで控訴人についてした次の各処分をいずれも取り消す。
(一) 平成三年分以降の所得税の青色申告の承認の取消処分。
(二) 平成三年分の所得税の更正処分のうち総所得金額三六七万一六七二円及び納付すべき税額二四万五一〇〇円を超える部分並びに同年分の所得税の過少申告加算税賦課決定処分(平成七年七月七日付け異議決定により一部取り消された後のもの)。
(三) 平成四年分の所得税の更正処分のうち総所得金額五一九万九五〇九円及び納付すべき税額四七万一八〇〇円を超える部分並びに同年分の所得税の過少申告加算税賦課決定処分(平成七年七月七日付け異議決定により一部取り消された後のもの)。
(四) 平成五年分の所得税の更正処分のうち総所得金額二八八万〇九四〇円及び納付すべき税額一五万七〇〇〇円を超える部分並びに同年分の所得税の過少申告加算税賦課決定処分(平成七年七月七日付け異議決定より一部取り消された後のもの)。
3 訴訟費用は一、二審とも被控訴人の負担とする。
二 被控訴人
主文同旨。
第二当事者の主張
一 当事者の主張は、次の二に附加するほか、原判決事実摘示のとおりであるから、これを引用する。
ただし、次のとおり補正する。
1 原判決一七頁六行目の「午後一一時ころ」を「午前一一時ころ」と改める。
2 同二七頁七行目、末行目、二八頁八行目、末行目、三〇頁四行目及び九行目の各「別表」をいずれも「別表1」と改める。
3 同二八頁二行目及び四八頁九行目の各「別表」をいずれも「別表5」と改める。
4 同二八頁三行目、二九頁一行目から二行目及び三一頁九行目の各「別表」をいずれも「別表2ないし4」と改める。
5 同二八頁末行目の「総所得金額欄」を、「総所得金額の各<5>算出所得金額欄」と改める。
6 同二九頁七行目の「別表」を「(別表2ないし4」と改める。
7 同三〇頁七行目の「別表」を「別表6」と改める。
二 当審附加主張
1 控訴人
(一) 控訴人は、下熊事務官に対し、帳簿書類を提示するなどして、被控訴人の調査に協力した。下熊事務官は、第三者の立会いに拘らなければ、いつでも帳簿書類を検査して、調査を進めることができた。下熊事務官は、守秘義務に違反するとして、第三者の立会いを拒否したが、そのようなおそれはなかった。何故なら、この第三者は、控訴人の記帳事務の補助者であり、控訴人やその取引先の事情について、十分に知っていたからである。それ故、第三者の立会いを拒否したことには正当理由がなく、下熊事務官の控訴人に対する調査は違法である。このように、控訴人は、帳簿書類を提示するなどして、秘控訴人の調査に協力したのであるから、青色申告の承認の取消事由がない。
(二) 右(一)のとおり、下熊事務官は、いつでも帳簿書類を検査して、調査を進めることができた。したがって、被控訴人は、控訴人につき、実額課税が可能であり、推計課税の必要性がなかった。そうであるのに、原判決は、控訴人につき、推計課税の必要性があったと誤った認定判断をしている。
(三) 被控訴人の推計課税は以下のとおり不合理である。
(1) 被控訴人による同業者の選定が恣意的である。すなわら、控訴人の事業所を管轄する被控訴人ないし近隣税務署の管内に偏っているうえ、控訴人の業種、業態との同一性が不明である。そればかりか、異議決定段階と訴訟段階とでは、業者及び業者数が異なっている。
(2) 被控訴人による同業者比率の算出方法が不合理である。すなわち、その売上原価率を算出するに当り、仕入れが殆ど不要なタイヤ・ホイールの整備修理業務の売上げを除外すべきであるのに、そうしたか否かが不明である。
また、異議決定段階と訴訟段階とでは、所得率の算出方法が異なっている。
2 被控訴人
(一) 控訴人は、下熊事務官から何度も帳簿書類を提示して調査に協力するよう求められたのに、第三者の立会いなしには帳簿書類を提示しないとの態度に終始した。下熊事務官は、調査の内容が守秘義務にも関連することから、税理士でない第三者の立会いを認めなかった。その権限内における合理的な選択であったといえる。控訴人は、正当な理由なく、下熊事務官による調査を拒否し、所轄税務署長である被控訴人による帳簿書類の備付け、記帳及び保存の確認を不可能ならしめた。そして、このような場合も、所得税法一五〇条一項一号所定の青色申告の承認の取消事由に該当する。
(二) 右(一)のとおり、控訴人は、下熊事務官による調査の際、第三者の立会いなしには帳簿書類を提示しないとの態度に終始し、その所得金額を実額で把握し得る資料を提示しなかった。それ故、被控訴人には、推計課税の必要性があった。
(三) 被控訴人の推計課税は以下のとおり合理性を有する。
(1) 被控訴人は、業種、業態、事業規模、事業場所の諸点で、控訴人と類似性、近接性を有する同業者を選定した。しかも、その選定にかかる同業者は、申告の正確性について裏付けを有する青色申告者である。控訴人は、被控訴人による同業者の選定が恣意的であると主張するが、それを裏付けるに足る証拠がないうえ、その主張にかかる事情も、類似性、近接性を否定し得る控訴人の特殊事情とはいえない。
(2) タイヤ・ホイールの販売業者は、大抵その整備修理業務を行っているうえ、確定申告書添付の決算書にも売上げの内訳が記載されていないのが通例であるから、この業務の売上げを除外しなくても、売上原価率の算出が合理性を欠くものではない。
理由
一 判断の大要
1 当事者の主張のあらまし
(一) 控訴人
控訴人は、帳簿書類を提示して、被控訴人の調査に協力した。それ故、被控訴人のした青色申告の承認の取消処分、推計課税による更正処分及び賦課決定処分は、いずれもその要件を欠く違法なものである。
(二) 被控訴人
控訴人は、正当な理由なく、帳簿種類の提示を拒み、被控訴人の調査に協力しなかった。この場合も青色申告の承認の取消事由に該当する。右事情からみて、推計課税の必要性があり、かつ、同業者比率による推計方法にも合理性がある。被控訴人のした本件各処分はいずれも適法である。
2 原判決の要点
(一) 控訴人は、正当な理由なく、帳簿書類の提示を拒み、被控訴人の調査に協力しなかった。そのため、被控訴人は帳簿書類の備付け等を確認できなかった。この場合も青色処分の承認の取消事由に該当する。
(二) 被控訴人のした更正処分及び賦課決定処分は、推計課税の必要性及び合理性がともに認められるから、いずれも適法である。
3 当裁判所の認定判断の要点
(一) 当裁判所も、原判決同様、控訴人の請求を棄却すべきものと判断する。
(二) その理由は概ね右2の原判決と同じである。
(1) 青色申告者が、正当な理由なく、税務調査に応じないため、税務官署において、帳簿書類の備付け等を確認できない場合は、所得税法一五〇条一項一号所定の帳簿書類の備付け等が行われていたとはいえず、同号の青色申告の承認の取消事由に該当する。
被控訴人は、控訴人が、正当な理由なく、帳簿書類の提示を拒み、調査に協力しなかったため、その備付け等を確認できなかった。それ故、控訴人には、青色申告の承認の取消事由がある。
(2) 被控訴人のした更正処分及び賦課決定処分は、推計課税の必要性及び合理性がともに認められるから、いずれも適法である。
(3) 本件各処分の取消を求める控訴人の請求には理由がない。
二 原判決の引用
当裁判所が右のとおり判断する理由は、次の三に附加するほか、原判決理由説示のとおりであるから、これを引用する。
ただし、次のとおり補正する。
1 原判決五九頁一〇行目の「伝えて、」の次に「午後三時三〇分ころ、」を加える。
2 同六二頁六行目の「下熊事務官は、」の次に「午後二時四〇分ころ、」を加える。
3 同六八頁末行目から六九頁一行目の「税務当局」を「税務官署」と改める。
4 同六九頁三行目の「確認できない場合も」から五行目の文末までを次のとおり改める。
「確認できない場合は、税務官署の要求に応じていつでもその閲覧に供し得る状態において備付け等が行われていたとはいえず、それ故、青色申告の承認の取消事由を定めた所得税法一五〇条一項一号の『帳簿書類の備付け等が行われていないこと』という要件に該当する(最判平成八・九・一七税務訴訟資料二二〇号六五七頁参照)。」
5 同頁六行目の「前記二1」を「前記二1、2」と改める。
6 同七〇頁二行目の「帖簿書類」を「帳簿書類」と改める。
7 同頁五行目の「作出していたのであるから、右書類が」を「作出し、下熊事務官が、その点を危惧することなく、慎重かつ十分に調査を進めることができたものとはいえないから、控訴人主張の右書類が所得税法一五〇条一項一号所定の帳簿書類に当るとも認められないし、その書類が」と改める。
8 同頁六行目の「事実は」を「事実があっても」と改める。
9 同七三頁二行目及び八行目の各「別表」をいずれも「別表5」と改める。
10 同頁七行目の「(乙)」の次に「が控訴人の取引先業者であり、これら」を加える。
11 同七四頁二行目、七六頁一〇行目、七八頁二行目及び八一頁二行目の各「別表」をいずれも「別表1」と改める。
12 同七四頁一〇行目の「大阪国税局長は、」の次に「平成九年九月二九日、」を加える。
13 同七七頁五行目の「訴訟が継続中」を「訴訟が係属中」と改める。
14 同頁九行目の「別表」を「別表2ないし4」と改める。
15 同七九頁五行目の「販売を行う業者」を「販売を主に行う業者」と改める。
16 同八〇頁一行目の「推計の」から四行目の「さらに、」までを削除する。
17 同頁八行目の文末の次に改行して「そもそも、推計である以上、控訴人の事業、所得と完全に一致する数額を算出することはできず、その近似値で足るというべきである。納税者は、推計課税の必要性が認められる以上、その合理性がある近似値による課税を受忍するほかない。」を加える。
18 同八一頁三行目の「範囲内にあるから、」の次に「所得税法及び国税通則法の関係諸規定に基づきなされた」を加える。
三 当審附加主張の検討
1 青色申告の承認の取消処分の適法性について
控訴人は、帳簿書類を提示するなどして、被控訴人の調査に協力したから、青色申告の承認の取消事由がないと主張する。
しかし、前示原判決の補正、引用により認定した本件各処分までの経過のとおり、控訴人及びその妻丙は、本件調査の際、下熊事務官から、何度も、第三者の立会いなしに帳簿書類を提示して、調査に応じるよう求められたのに、これに応じない態度で終始したことが明らかである。丙の証言及び陳述書(甲一八)も右認定に反する趣旨であるとは解し難い。
ところで、税務職員が、帳簿書類を検査して、調査を進めるに当り、第三者の立会いを認めるか否かは、結局のところ、当該税務職員による諸般の事情を考慮しての合理的な裁量に委ねられているといえる(最決昭和四八・七・一〇刑集二七巻七号一二〇五頁、最判平成五・三・一一訟務月報四〇巻二号三〇五頁、最判平成八・九・一七税務訴訟資料二二〇号六五七頁など参照)。
そして、前示原判決の補正、引用により説示したところに加えて、証拠(甲一八、甲二七、証人丙)によると、次のとおり認定判断できる。すなわら、控訴人は、帳簿書類の記帳事務一切を丙に任せ、月に一回程度の割合で、A民主商工会の事務局員丁らから、記帳事務につき、助言、補助を受けていた。しかし、控訴人及び丙が、本件調査の際、立会いを求めた第三者の中には、右記帳事務の補助等に関与していない者が含まれていた。また、これらの第三者は、いずれも税理士資格を有しておらず、控訴人の事業にも関与していなかった。さらに、本件調査の過程で、控訴人やその取引先に関する秘匿すべき情報が顕れる可能性がないではなく、これが第三者に漏洩して、下熊事務官の守秘義務違反が問題となるおそれがあることを否定できない。
これらの事情からみて、下熊事務官が、本件調査に当り、第三者の立会いを認めなかったことに、その裁量を逸脱した違法があったとはいえない。それ故、前示のとおり、控訴人が、第三者の立会いが認められなければ、帳簿書類を提示しないとの態度で終始したのは、正当な理由がなく、帳簿書類の提示を拒否して調査に応じなかったものといえる。それがために、被控訴人は、控訴人による帳簿の備付け、記録、存在が正しく行われているか否かを確認できなかったのである。そして、このような場合、青色申告の承認の取消事由を定めた所得税法一五〇条一項一号の「帳簿書類の備付け等が行われていないこと」という要件に該当することについては、前示原判決を補正、引用して説示したとおりである。
なお、本件では、そもそも、控訴人が、その事業につき、帳簿書類を備え付け、これに取引を記録して保存していたことを認めるに足る的確な証拠もない。
結局、控訴人の主張は理由がなく、これを採用できない。
2 推計課税の必要性について
控訴人は、帳簿書類を提示するなどして、被控訴人の調査に協力したから、実額課税によることが可能であり、推計課税の必要性がなかったと主張する。
しかし、前示のとおり、控訴人は、下熊事務官の再三の要請にもかかわらず、第三者の立会いが認められなければ、帳簿書類を提示しないとの態度で終始し、被控訴人の調査に応じなかった。そのため、被控訴人は、控訴人の事業に関する直接資料を入手できず、その所得額を実額で把握することが不可能ないしは著しく困難であった。それ故、被控訴人には、控訴人について推計課税を行う必要性があったと認められる。
控訴人の主張は採用できない。
3 推計課税の合理性について
控訴人は、被控訴人による推計課税につき、同業者の選定が恣意的であり、推計方法も不合理であるから、違法であると主張する。しかし、この主張も、以下の諸点に照らし、採用できない。
(一) 同業者選定の恣意性
(1) 前示原判決の補正、引用により説示したとおり、被控訴人は、異議決定後、新たに、大阪国税局長の一般通達により、近隣七税務署の管内から、控訴人と業種、業態、事業規模の類似する同業者を選定したものである。そして、証拠(乙二、三の各1ないし7)及び弁論の全趣旨によると、この同業者の選定過程に、被控訴人の恣意が介在する余地のなかったことが認められる。この認定を覆すに足る証拠がない。
(2) 控訴人は、その事業所を管轄する被控訴人ないし近隣税務署の管内の同業者のみが選定されたことにつき、偏りがあるという。
しかし、控訴人の取引相手を同業者として選定すべきものではなく、控訴人と類似する同業者を選定するのであるから、そのためには、むしろ、近接性を考慮に入れた右選定方法に合理性が認められる。これを恣意的であるという控訴人の主張は失当である。
(3) 控訴人は、主に中古車販売業者に対してタイヤ・ホイールを販売しており、一般顧客を相手とする小売りを行っていないが、これと同じ業種、業態の同業者が選定されたか否かが不明であるという。
しかし、控訴人の事業がその主張どおりであることについては、丙の証言及び陳述書(甲一八)があるものの、その的確な裏付け証拠がない。むしろ、証拠(乙五の1、2、乙六)からみると、控訴人は、自動車の情報雑誌にタイヤ・ホイールや自動車用品の広告を出し、店舗建物の数か所に、屋号と商品を「格安」等の文句とともに大書した看板を掲げたうえ、その周囲に幟を立てるなどして、小売りにも相当の力を入れていることが窺える。そうすると、被控訴人の選定した同業者が、控訴人と業種、業態の同一性を欠くものとはいえない。
(4) 控訴人は、異議決定段階と訴訟段階とで、業者及び業者数が異なっているという。
なるほど、証拠(甲一一ないし一三、乙三の1ないし7)によると、控訴人の右主張事実を認めることができる。しかし、被控訴人は、本件更正処分及び賦課決定処分の適法性を維持する理由として、異議決定段階で考慮されなかった事実を新たに主張することも、許されると解するのが相当である(最判昭和三六・一二・一裁判集民事五七号一七頁、最判昭和四二・九・一二裁判集民事八八号三八七頁など参照)。それ故、異議決定段階と訴訟段階とで、業者及び業者数が同一である必要はなく、この点の非難は当らない。
(二) 推計方法の不合理
(1) 控訴人は、同業者の売上原価率を算出するに当り、仕入れが殆ど不要なタイヤ・ホイールの整備修理業務の売上を除外すべきであるのに、そうしたか否かが不明であるという。
しかし、証拠(乙二、三の各1ないし7)によれば、選定された同業者は、タイヤ・ホイールの販売業ないしこれに付随してタイヤ・ホイールの整備修理を営む者に限定されていることが明らかである。タイヤ・ホイールの整備修理を専業とする業者は含まれていない。そして、証拠(証人丙)によると、控訴人は、タイヤ・ホイールの販売業者であり、これと併せて、タイヤ・ホイールの整備修理も行っていることが窺える。そうであれば、タイヤ・ホイールの整備修理業務の売上げを除外せずに、売上原価率を算出することについては、かえって十分な合理性があるといえる。
(2) 控訴人は、異議決定段階と訴訟段階とで、所得率の算出方法が異なっているという。
なるほど、証拠(甲一一ないし一三、乙三の1ないし7)によると、控訴人が指摘するとおり、生野税務署管内の業者B、東大阪税務署管内の業者Bにつき、異議決定段階と訴訟段階とで、所得率が異なっていることが窺える。しかし、異議決定段階の所得率の算出過程は、本件全証拠によっても、必ずしも明らかであるとはいえない。それに比べて、右証拠及び弁論の全趣旨によると、訴訟段階の所得率の算出過程は明確であり、しかも、その内容にもとくに不自然、不合理な点が窺えない。そうであれば、訴訟段階において、同業者の平均算出所得率に基づき、控訴人の算出所得金額を出し、そこから、建物減価償却費、地代家賃及び事業専従者控除額を差し引いて総所得金額を算出することにつき、合理性に欠けるところはない。
(三) 以上のとおり、被控訴人による推計課税の合理性を認めることができ、本件全証拠によっても、この認定判断を覆し得る事情ないし理由は見い出せない。
(四) 結局、控訴人の主張は、原判決を正解することなく、独自の主張を展開するものにすぎず、採用できない。
四 結論
よって、原判決は相当であり、本件控訴は理由がないからこれを棄却し、控訴費用は控訴人の負担として、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 吉川義春 裁判官 播磨俊和 裁判官小田耕治は転補のため署名押印できない。裁判長裁判官 吉川義春)